ナショナル・レール(1)〜ナショナル・レール、ロンドンの主要ターミナル、名物列車

英国の鉄道は地下鉄などを除き、ほとんどがNational Rail です。1994年に旧国鉄・ British Rail が分割民営化されてできた組織です。したがって、国営ではなく、列車の運行は少なくとも27社の Train Company (オペレーター)が行っています。分割民営化はユーロスターでさえ例外ではありません。


National Rail のロゴ
ただ、分割といっても、日本のような地域分割型ではなく、あくまでも列車の運行を各社で運営しているのです。一つの路線を複数のオペレーターが列車を走らせることも珍しくありません。また、ほとんどの場合切符は目的の列車がどのオペレーターということは気にせずに買うことができます。



列車のチケットの例です。これは往復チケットで、左のOUTというのが「行き」、右のRTNが「帰り」用です。また各チケット最初にあるSTDはスタンダード席の意味、その右に見えにくいですがCHEAP DAY RTN と書いています。これは、Cheap Day Return Ticket で、土日は終日、平日なら朝遅い出発(だいたい9:30以降)に使え、かなり安くなります。ほぼ通常の片道運賃で往復できます。日本のように一人一枚ずつではなく、一枚の切符に大人何人、子供何人というふうに記入しています。そのかわりに、行きと帰りが別々です。

Cheap Day Return 切符



駅にある表示板です。最近はTVモニター式が増えてきましたが、こういうのも残っています。一番左の11:05発の列車、Platform が空白なのは、列車が入るまでなかなか決まらないことが多いからです。日本のように時刻表にホームまで書いてあるなんて、夢のようです。次のRAMSGATE は、終着駅、Chathan は経由駅です。その下少しおいて Calling at の下に、延々と停車駅が並んでいます。ロンドン Victria 駅にて。

Victria 駅の表示板



ロンドンの主なターミナル
ロンドンのターミナルは、パリやウィーンと同様、町の中心から少し離れたところにほぼ円周上に並んでいます。地下鉄の Circle Line が、ほぼその円周上をまわっています。それぞれの駅から、特定の方角行きの列車が主に出るので、目的地が決まれば、どの駅から列車が出るのかを調べる必要があります。まずはLondon Bridge(ロンドン・ブリッジ)駅です。古い駅で、すでに1840年にはここにあったそうです。現在では通勤・短距離列車が主だそうです。ブライトンからの帰りにここに着きました。

London Bridge 駅



Waterloo(ウォータールー) 駅。近代的な駅で、ユーロスターの発着駅としても有名ですが、ほかにもイングランド南西部に向かう列車が発着します。ソールズベリ行きにはこの駅を使いました。

Waterloo 駅



Victria(ヴィクトリア)駅の外観です。Victria 駅は、イングランドの南部と南東部へ向かう列車が発着します。またガトウィック空港もここから出る快速列車が便利だそうです。カンタベリー、ブライトンにはここから向かいました。また、オリエント・エクスプレスもここから発着しています。

Victria 駅



Paddington(パディントン)駅です。イングランド西部のブリストルやバース、ウェールズ南部のカーディフやスォンジーなどへ向かう列車もここから出ます。オックスフォード、ウインザー&イートン、バースにはこの駅から出発しました。駅構内にはクマのパディントンのワゴン売店が出ていました。

Paddington 駅



King's Coss(キングス・クロス)駅です。左の列車はスコットランドのエディンバラ行き。つまり、スコットランド東海岸へはこの駅から列車が出ています。ほかにもイングランド北部。ケンブリッジ行きにはこの駅を利用しました。ちなみに映画好きな人はキングス・クロスの9番線(ほんとは9・3/4番線だそうな)と言えば、映画「ハリーポッター」を思い出すそうです。ケンブリッジ行きはまさに9番線から。でも魔法の列車ではなくごく普通の列車でした(あたりまえ)。
King's Cross 駅




それでもさすがは妙にサービス精神の発達した英国、ホームの脇に、そういう人たち用に9・3/4番線の表示を出しています。まあ、お好きにどうぞ。その前では、記念写真の列ができていました。


King's Cross 駅の9・3/4番線?



Marylebone(マリルボーン)駅です。ここはホームの本数が少なく、近郊電車が多いそうです。日本と同じように自動改札機が並んでおり、電車の所まで切符がないと行けません。英国でも、これからどんどんとこうなっていくようです。

Marylebone 駅



Liverpool Street(リヴァプール・ストリート)駅です。ロンドン・シティの内部にある唯一のターミナルです。ロンドンの北、北東方向への列車が発着します。ケンブリッジからの帰りにここに着きました。

Liverpool Street 駅



Euston(ユーストン)駅です。ここは長距離高速列車がかなり発着しています。リヴァプール、マンチェスターといったイングランド中〜北部の都市が多いようです。この先、ホームへは各ホームごとの入り口があります。バーミンガムには、この駅から出ました。

Euston 駅



Charling Cross(チャリング・クロス)駅です。ロンドンのど真ん中、外に出ればすぐにトラファルガー広場です。南東方向への列車がメインに発着します。ヘイスティングスに行くときにこの駅を使いました。ほかにも、ドーヴァー方面へのフェリー乗り継ぎ列車(国際列車と呼ばれている)も、出ているようです。

Charling Cross 駅



名物列車

この日、ロンドンのVictria 駅に帰ると、一番端のホームにオリエント・エクスプレスが停まっていました。観光ツアー用に運行されていて、定期運行はありませんが、従来ほんとうに大陸で使われていた車両を集めてきたそうです。時には、フェリーを使って、大陸に行くツアーも行われているようです。


オリエント・エクスプレス







これが牽引用のディーゼル機関車です。色調が客車とよく統一されています。


オリエント・エクスプレス牽引のディーゼル機関車




この列車は、First Great Western 社の誇るAdelante (Class 180 Multiple Unit ) です。最高速度200km/hの最新型気動車で加速は200km/h まで 364秒の性能です。さらに詳しくは、こちらをご参照下さい。

New Adelante trains




Virgin(ヴァージン)は航空界だけでなく、英国のTrain Company にも進出しています。ヴァージン・トレインズの新鋭列車です。Pendolino と呼ばれている振り子式列車で、車内装備も優れています。しかもドアは自動!マンチェスター〜ロンドン間などです。詳しくはこちらを。

Pendolno Trains




ロンドンのPaddington 駅とヒースロー空港をわずか15分で結ぶヒースロー・エクスプレスです。


ヒースロー・エクスプレス







Victria 駅とガトウィック空港を35分で結ぶガトウィック・エクスプレスです。前に突き出した顔が特徴的です。Victria 発の一番列車は朝の4時半。


ガトウィック・エクスプレス




最後になってしまいましたが、やはりユーロスター。第3軌道方式の電車ですが、日本の新幹線とは違い両端に動力車を持つタイプです。ユーロスターは最高速度300km/h、ロンドン(Waterloo 駅)からパリ北駅まで、2時間35分で首都間を結んでいます。ブリュッセルまでならさらに早く2時間20分。しかも編成は20両にも及びます。

ユーロスター