三池岳と近江側八風峠道   Mt. Miikedake & Happu Pass Way (Shiga Pref. Side)

永源寺から東へ鈴鹿を登っていく八風(はっぷう)街道は、近江商人が伊勢へそして東国へと越えて行った街道として有名です。現在は途中までは国道421号線としてその姿をとどめていますが、現在の国道ルートはこの八風橋で八風谷と別れ、少し北に振って石榑峠に向かい、八風峠は通りません。その後の八風峠は、伊勢側は今でも登山道として利用されていますが、近江側はほとんど廃道化してしまいました。そこで、この近江側の道を辿ってみることにしました。今回は、八風谷を少し上がった後、仙香谷(カシラコ谷)に入り中峠を目指す予定でした。しかし、中峠より少し北に寄ったところで県境主稜線に出ました。でも、そのお陰で素晴らしい展望が楽しめました。そこから三池岳に登ったあと、八風峠から近江側の峠道を下ってみました。

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山行写真
撮影日:2004/6/13Photo by Minaphm, All Rights Reserved.
撮影機材:ボディー: Pentax KX、レンズ: Tefnon Zoom 28-105mm F3.5



八風橋 @
このあたりの国道421号線はこの当時、すれ違うのも大変な一車線道でした。橋を渡った向こうの右手に八風谷の林道の入口ゲートが見えています。
いまは、トンネルの入口手前。ぼんやりしてると、通り過ぎてしまいそうな谷です。




八風橋からの八風谷 @
橋の上から。大きな花崗岩がごろごろころがる河原です。この谷にはこの先、キャンプ場が
あります。そして右岸を林道が登っていきます。橋のたもとの広場に車をとめて、まずその林道を歩き始めました。
なお、この林道の入口ゲートはチェーンでしっかり閉ざされていて、車で入ることはできません。




八風第一橋より
林道はやがて、大堰堤の下を橋で渡ります。



林道上部 A
林道は先へ先へと工事がされていました。したがってこのあたりは1/25000地図にもない道です。
そんなわけで下の地図中の林道ルートは、いい加減ですので、ご了承のほどを。




登った小谷 B(林道の橋の上から)
林道をずいぶんと歩いてきました。もうそろそろ仙香谷の上流、カシラコ谷に来ているはずです。
この谷がそれかどうかはよくわかりませんが、とにかく東に向かって谷を詰めてみました。
おそらく、下の地図のBのあたりでしょう。今から考えれば、カシラコの少し北側の支谷だったのかもしれません。



稜線に出る C
その谷を東へと登っていきましたが、谷筋はさらにいくつもに分かれ、踏み跡も薄くなってきたので、
左手目の前の東西方向の稜線に乗ってみました。すると、稜線上は踏み跡もあり、なかなかのいい道。
これを東に詰めれば、県境の主稜線に出られそうです。



稜線からの「北仙香山」 D
この東西の稜線は途中で多少南北に振りましたが、踏み跡は依然しっかりあります。ついに県境の主稜線の峰が見えてきました。
あとで調べると、これは仙香山の北側に位置する峰で、名前はないようです。ここでは仮に「北仙香山」と呼んでおきます。
標高は仙香山(983m)とほとんど同じで、等高線から読みとると980+αmあります。





「北仙香山」山頂手前(D-E間)からの眺望


釈迦ヶ岳
南に釈迦ヶ岳の山頂部。手前は仙香山でしょう。



雨乞岳とイブネ
左奥が雨乞岳1238m、手前に大きくイブネ。この雄大さは、何回見ても息をのむほどです。



銚子ヶ口
イブネの右に、銚子ヶ口の峰々。


「北仙香山」山頂(E)からの眺望


竜ヶ岳
稜線を詰め切るといよいよ山頂に着きました。岩の上でお弁当を食べながら、この眺望!北には竜ヶ岳の伸びやかな稜線。



御嶽山と養老山地
北東、養老の山の向こうには、かすかに木曽の御嶽山3063mが。



三池岳
その少し右に、今から目指す三池岳ですが、こちらの方が少し標高が高いので、ちょっと見下ろす感じですね。



伊勢湾
東には伊勢平野と伊勢湾が。



釈迦ヶ岳と御在所岳
南、釈迦ヶ岳1086m。その右には御在所岳1212m。



押立山、アカイシ
西は右下がりの押立山と水平な稜線を持つアカイシ。その右には八ツ尾山。その間の手前は東山。バックは若狭・近江国境の山々。



天狗堂
北西には988mの天狗堂。



御池岳
北北西には、鈴ヶ岳(左)と、御池岳1247mです。右手前は静ヶ岳の尾根。



静ヶ岳
御池の右手に、静ヶ岳です。その右の鉄塔は御池〜藤原間の鉄塔。その右には竜ヶ岳の稜線。






八風峠 F
県境主稜線縦走路は、「北仙香山」から少し東へ下ったところを通っていました。縦走路を北に歩いてまもなく鳥居のある八風峠です。



県境主稜線縦走路 G
峠から三池岳を目指す道です。低い笹の生えた歩きやすい道です。



三池岳より八風谷を見下ろす H
三池岳山頂の少し手前、西が開けた場所から八風谷(近江側)の全貌です。なんともなだらかな谷です。
山は、左から右へ、割山、日本コバ、岳(手前)、押立山、アカイシと続きます。



三池岳より釈迦ヶ岳 H



三池岳より仙香山 H
後には雨乞岳が山頂部を見せています。



三池岳山頂 H
山頂と三角点です。ここからは眺望はありません。



八風峠道(近江側)・最上部 I
八風峠まで戻り、いよいよ古い峠道を近江側に下ります。最初はこんな谷状の道。かつて
多くの商人や旅人がゆきかった道であったことを少しだけ想い起こさせてくれます。




八風峠道(近江側)・中間部 J
流れが出てきました。踏み跡はよくわかりませんが、傾斜はあまり無く、林も疎らなので谷芯を下っていけます。



八風峠道(近江側)・下部 K
JとKの間は、流れも水量が増して「川」となり、小さい滝、崖、大きな岩、樹木の密生等があったりで、ルート取りに苦労しました。
何回か戻ることも余儀なくされました。Kまで来ると、道がはっきりしてきます。もうあとはこれに沿って歩くだけ・・・・やがて、川の対岸に
行きに歩いた林道が見えてきたら、川を渡って適当に土手を上り、Lで林道に出ました。



MAP
図中の番号は上の写真と対応しています。


この地図は国土地理院発行の2万5千分の1地形図(竜ヶ岳)をベースに作成いたしました。


山行記録:日時−2004年6月13日、天候−晴れ。12:00 八風橋に駐車、八風谷林道を登る。12:30 一旦、林道を離れて小谷にはいるが、結局林道が延びていて、再び林道を歩くことに・・・・、13:05 Bから谷に入り、東に詰める。13:25 C尾根に乗る。14:00 「北仙香山」山頂着、ここで昼食、14:30 山頂発、14:40 縦走路、15:00 八風峠、15:15 三池岳着、15:35 八風峠、峠道を近江側に下り始める、17:00 Lで林道に出る、17:30 八風橋着。

八風峠のルートは、以前から一度歩いてみたかったのですが、なかなか機会が無く、ようやくこの日歩くことができました。といっても、登るのはルートファインディングが大変なので、下ることにしました。そのために最初は仙香谷(カシラコ谷)から中峠を目指したつもりが、林道工事の影響で現在位置がはっきりしないまま谷に入ったせいもあり、中峠のずいぶん手前で、北側の尾根Cに乗りました。まあいいやと尾根を詰めると、仙香山の北の峰に出ました。尾根には踏み跡もテープもあり、順調に高度を上げていき、やがて多少の薮漕ぎ、笹漕ぎを経て、山頂に着きました。この山頂Eにある小さな岩の上からの眺望はほんと最高の部類でした。まさに怪我の功名って所ですね。ここでゆっくりとお弁当&Beerと眺望を楽しみました。御嶽山まで見えたほどです。その後八風峠に下り、三池岳を往復したのち、いよいよ八風峠道を近江側へ。最初は水のない谷芯に沿って北北西に下っていきました。やがて水が出てきても流れに沿って快適に下っていきました。Jを過ぎて谷が西に振ったあたりから、多少ルートを考えながら何回も渡渉しました。何ヶ所かでは崖、大きな岩、小滝、樹木の密生等で戻ることも余儀なくされました。Kあたりまで来ればもう安心、踏み跡も見えてきました。