比婆之山・男鬼山   Mt. Hiba & Mt. Oori 

霊仙山の西に拡がる山塊は芹川の南の近江カルストと同様にカルスト台地で、標高700mを越えるものはなく、結構地味なイメージの山々ばかりです。しかし、霊仙山の山頂から見下したら何もないその広大さに驚いてしまいます。実際、集落の大半は廃村になってしまい、民家も広い道もほとんどありません。登山道もあまり整備されてはいませんが、送電線の巡視路を使ったりしてあちこちの山頂を踏むことができます。今回は男鬼集落を起点に、南の比婆之山、西のイワス、北の男鬼山の三山を歩いてきました。


山行写真
撮影日:2002/10/27 Photo by Minaphm, All Rights Reserved.
撮影機材:ボディー: Pentax KX、レンズ: Tefnon Zoom 28-105mm F3.5



男鬼(おおり)の集落
どこか昔懐かしい、美しい集落です。



比婆神社鳥居
男鬼集落の少し西に鳥居があります。でも、ここから神社までは半時間は登らなければ行けません。



比婆神社へ登る参道
神社までは車であがれる参道がついています。



霊仙山
参道途中一箇所から、霊仙山1094mの姿が望めます。右端から左に向けて登っていくのが西稜です。



比婆神社本殿
比婆之山の山頂近く、大きな岩の下に本殿は建っています。



比婆之山・山頂への入り口
比婆神社の駐車場まで戻り、山頂への入口を探します。鳥居から少し東に笹の切り開きがあり、ここから山に入れます。



比婆之山・山頂への道
林の中の笹道を登っていきます。少し藪の濃いところもありましたが、踏み跡はしっかりついていました。



ツルリンドウの実
この時期は藪の中にいろいろな赤い実があります。



比婆之山・山頂
植林と雑木林の境目にある目立たない山頂です。三角点はありません。標高約670m。



イワスへの稜線
山頂から、植林の中を真西に下ります。すると、やがてこのような尾根が出てきます。



男鬼山
イワスへの稜線の中程にある鉄塔下から。二つの峰の右方が男鬼山683mの山頂です。



伊吹山
男鬼山の右に伊吹山1377mが見えました。



山中の堰堤
比婆之山からイワスへの稜線はその先のピークで90°左に曲がり、その先の鞍部に不思議な堰堤があります。
そうとう古いもののようですが、川があるわけでもなく、何のためにあるのかよくわかりません。この上を歩きます。




イワスから南西方向
突然視界が開けます。イワスの石灰鉱山跡です。80m程の断崖の上に立ってるわけですから、
眺めは最高です。すぐ目の前には550.0mの三角点を持つイブキ、その先は彦根方面です。
荒神山、奥島山なども見えます。右には琵琶湖、その向こうには比良連峰が見えています。




荒神山
荒神山のアップです。手前には犬上川。琵琶湖に浮かぶのは沖ノ島です。200mm望遠。



イワスから南方向
南には、芹川の谷、その向こうには犬上川の谷があり、その上は奥が左から日本コバ〜白鹿背〜押立山の稜線、
一つ手前には、左からアカイシ、八ツ尾山〜高取山の稜線です。




高室山
南東には、高室山818mがあります。その右には滝谷山877m。



御池岳
さらに左に目をやると、ちょっと鉄塔がじゃまですが、御池岳1247mの勇姿です。御池の手前にはザラノ808m。



鍋尻山
イワスの鉱山跡の広場へ下りるため稜線を少し南へ向かうと、左手に鍋尻山838mが現れます。送電線がちょっとじゃまですが・・・・。



霊仙山
その左には霊仙山1094mが頭を出しています。



比婆之山
さらにその左には、先ほど登った比婆之山670mの姿です。



イワスの鉱山跡
これが下から見上げたほぼ80mの断崖。



男鬼山への取り付き
イワスの鉱山跡から林道へ入り、男鬼への峠を越えたところを今度は左に分かれる新しい林道に入ります。
少し行くと巡視路の入り口があり、男鬼山はここから入っていきます。




男鬼山
巡視路を北に進むと、視界の開けるところがあって、めざす男鬼山683mが見えました。



比婆之山
振り返れば、比婆之山670mを今度は北から見ています。



霊仙山
霊仙山の姿がまた少し変わりました。今日3枚目の霊仙。ほぼ真西からの姿。



コザト
霊仙山西南稜の下部を越えて、コザト830mの頭がのぞいていました。



鍋尻山838mと御池岳1247m
この二山が重なって見えるのはこのあたりからだけでしょう。



男鬼山・山頂
植林に覆われた静かな山頂です。もちろん、眺望はゼロです。



山行記録:日時−2002年10月27日、天候−晴れ。10:00 男鬼集落に駐車して出発、10:07 鳥居前、10:45 比婆神社本殿に参拝、10:57 比婆之山・山頂着。11:30 比婆之山・山頂発、11:43 鉄塔下、12:00 堰堤、12:14 イワス山頂着、13:00 イワス山頂発、13:30 イワス鉱山跡下部、14:00 峠、14:07 男鬼山取り付き、15:04 男鬼山・山頂、16:46 男鬼集落着。

 小春日和を予想していた天気予報が珍しく大当たりで、ぽかぽかと暖かい日差しの下、男鬼集落を出発しました。比婆神社には舗装された車道の参道を登りました。旧参道は入り口がよくわかりません。20分も上がると、霊仙の姿が素晴らしいポイントがあります。さらに20分ほど登ると比婆神社の駐車場で車道は終点。この日、車で結構遠方からお参りに来ておられる方がいました。比婆神社は大きな岩の下に本殿があり、周囲には大杉が立っています。駐車場に戻って山頂への入口を探しました。だいたい尾根の延長より少し東に、笹の切れた部分があって、そこから入ってみると、踏み跡がありました。テープも時々ありました。やがて、少し濃い藪を登りながら抜ければ、山頂のすぐ脇に飛び出しました。植林と雑木林の境目です。さて、ここから真西に下りなければなりませんが、全く道がなさそうだったので、少し南に出てみました。そうすると、東からの尾根道が交わる地点があり、その延長線が右に下っていました。これかな?と、下っていくと、なかなか急な下りですが、テープもあり、ずいぶんと下ってしまいました。しかし、方角がどうも南に振りすぎているのに気づき、それが甲頭倉へのルートであることがわかりました。ため息ついて山頂まで戻ってきました。
 こんどは、山頂から道はありませんでしたがとにかく真西に下りてみました。そしたら、踏み跡がみつかり、それが少しずつはっきりとしてきました。やがてきれいな尾根に乗れました。これが、イワスへのルートでした。気持ちのいい尾根道を進んでいくと、目の前に赤いものが見えてきます。紅葉には少し早いなぁと思っていると、それは赤白まだらの鉄塔でした。この山塊を南北に走る大きな送電線で、地図によると、白鹿背山の西の東近江開閉所から、白鹿背山、角井峠、アカイシ、杉坂山を通っているものでした。この鉄塔から見た男鬼山、伊吹山の写真は上にあります。ここからは巡視路になるので非常に歩きやすい道です。その先のピークで三叉路となり、右から上がってくる道が合流します。これも巡視路で、男鬼の峠の少し集落寄りから上がってくるもののようです。ここで左折し、少し下ると、写真の謎の堰堤です。少し登り直せば草原状になり、その先で突然視界がパッと開けます。イワスの鉱山跡の断崖の上に出たのです。下を見れば身震いするほど。その縁っこを登っていくと、やがてイワスの山頂です。このあたりはイバラが多くて、歩きづらい場所でした。ここで、食事休憩。暖かいし、景色もいいし、ここで飲むビールはおいしかったです。イワスからの眺望は上の写真にいっぱい載せましたので、そちらをご覧ください。
 さて、イワスからの下り、とりあえず80m下の広場まで下りるわけですが、尾根を南下して廃屋を右に下ったところは、かなりの藪がはびこった難路でした。なんとか古い車道を見つけて下っていきましたが、それでも木が既にいっぱい茂っていてなかなか大変でした。断崖が緩くなった地点から断崖脇を下りた方が賢明のようです。ここからは未舗装の林道を下り、車道に合流して、峠に着きます。右斜め下に下りる旧道が男鬼集落への道ですが、左上への新しい林道を行きます。途中までは舗装されたきれいすぎる林道です。尾根の突端のU字カーブの手前を左に階段で上がる巡視路が、男鬼山への取り付きです。稜線に乗れば、北へ北へと登ります。途中鉄塔も二箇所あります。二つ目の鉄塔から右折(東)し、ほんの少し下って鞍部に下り、登り直せば男鬼山の山頂です。ただし、鞍部あたりは杉の切り倒しがいっぱいで、歩きづらさはピカイチでした。何度倒された杉の木を越えたことか。。。男鬼山への登りは特に踏み跡などはありませんが、とにかく上へ上へと登ればやがて着きます。山頂はテープと小さな看板があり、ようやくそれと気づく場所です。


周囲からの比婆之山・イワス・男鬼山は、滋賀の山・山姿写真集をご覧下さい。