金勝アルプス(湖南アルプス・一丈野地区)   Konze Alps

概要
 滋賀県湖南地方の大津市、草津市、栗東市にまたがる湖南・金勝(こんぜ)アルプスは、標高こそ600m前後ではありますが、花崗岩が風化した荒々しい地形があちこちにあり、アルプスと呼ばれるようになったようです。そのうち、金勝アルプスはこの山塊の東部で、北の金勝(こんぜ)川、南の大戸(だいど)川に挟まれた山塊です。森林管理署の表記では、「湖南アルプス・一丈野地区」となっています。ピークは、東西に長い竜王山605m、その南東の一峰、金勝山612m、西の白石峰、白石峰から北への稜線を辿ると、巨大な露岩・天狗岩509m、さらに北上して鶏冠山491mなどがあります。この山域には、磨崖仏と呼ばれる自然の岩石に仏の姿を彫り込んだ彫刻が複数見られます。歴史的にも貴重な遺産になっており、大切にしていきたいものです。

ルートについて
 なぜかこのあたりのルートは鉄道のように「線」と呼ばれています。草津駅からバスが来ている「上桐生」のバス停を起点とすると、東の白石峰〜鶏冠山の稜線に向かう「落ヶ滝線」、北谷林道から鶏冠山に直登する「北谷線」、白石峰〜鶏冠山の稜線を南北に走る「北峰縦走線」、奥池から耳岩に向かう「奥池線」、新名神をくぐって耳岩に向かう「水晶谷線」、狛坂磨崖仏を経由して白石峰に向かう「狛坂線」、白石峰から南下し、桐生辻方面に向かう「茶沸観音線」などがあります。
 また、東の栗東市方面からのルートとしては、走井林道が県道12号線〜金勝寺(こんしょうじ)〜竜王山の東〜十九道ダムと通っていますので、これを利用したルートとなります。十九道ダムから白糸の滝を経て天狗岩・耳岩間に登るルートが代表的です。
 山塊の南を走る県道16号線方面には、「桐生辻」のバス停があり、ここからも登れます。ただし、2014年春現在、ここは県道の付替え工事の関係で地形が過去と大きく変わり、2013年の台風水害も重なり、登山ルートは非常に荒れています。瀬戸滝林道を利用する際は、要注意です。この周辺の珍しいルートとしては、下で瀬戸谷馬頭観音ルートを紹介しています。2016年現在、ついに瀬戸滝林道(17-19間)が不通になってしまいました。
 なお、上桐生へはJR草津駅からバスが出ています。桐生辻の方はJR石山から出ています。


MAP
 金勝アルプス周辺の地図です。黄色が車道、赤が登山ルートです。「←10/15→」などは、分単位の参考コースタイムです。管理人が自分の足で測ったものですから、あくまでもご参考まで・・・また、地図上の赤点についている番号は登山口や分岐番号で、最後の「分岐点の様子」の番号と対応しています。
 
金勝アルプス写真集

竜王山、鶏冠山 の山姿
山そのものを被写体とした写真です。

金勝アルプスの名所
落ヶ滝、白糸の滝、九品の滝、オランダ堰堤、重ね岩、天狗岩、国見岩、金勝寺

金勝アルプスの磨崖仏
逆さ観音、狛坂磨崖仏、茶沸観音、泣き地蔵、小屋谷観音

金勝アルプスの花
コバノミツバツツジ、イワカガミ、ヤブデマリ、スミレ類、ショウジョウバカマ、キンコウカ

金勝アルプスからの眺望
笹ヶ岳、阿星山、三上山、比良山、琵琶湖、栗東、トレセン

分岐点の様子
迷いそうなときに分岐点の感じを知っていれば・・・・

以下、金勝アルプスの山行記です。

山行記:2014.4.19、瀬戸谷馬頭観音ルート

山行記:2016.6.4、金勝アルプス外周ルート〜金勝山、竜王山、白石峰、天狗岩、鶏冠山と、小屋谷観音から金勝寺への新ルート(YAMAP)

山行記:2017.5.7、金勝アルプス8の字ルートで天狗岩、竜王山(YAMAP)

山行記:2017.12.30、上桐生⇒鶏冠山⇒天狗岩⇒竜王山(YAMAP)

山紀行:2018.3.18、鶏冠山、天狗岩、竜王山(YAMAP)

山紀行:2020.3.20、落ヶ滝から瀬戸ヶ滝への最短ルートと、瀬戸ヶ滝-馬頭観音ルート(YAMAP)

山紀行:2021.6.20、初夏の金勝アルプス(YAMAP)



金勝アルプスMAP


この地図は国土地理院発行の2万5千分の1地形図(瀬田・三雲)をベースに作成いたしました。


金勝アルプスの名所



落ヶ滝
大雨の後などでなければ水は少ない目ですが、つるつるの花崗岩から
落ちてくる高度差は結構あります。上桐生から30分も歩けば着きます。




白糸の滝
栗東市側にある滝です。十九道ダムから5分ほど上。このあと登っていくと、
滝の上にも出られます。上から眺める滝もなかなか。(2006.4)




九品の滝
他の滝とは少し離れています。「くぼんのたき」と読みます。穴口川にある滝で、流量はたっぷりです。(2006.6)



瀬戸ヶ滝
瀬戸滝林道のルートが屈曲するところにあります。林道が沿う谷の本流ではなく、支流にある滝で、落ヶ滝と少し似ています。
台風等の影響で旧林道の崩壊が進んでおり、今では新ルートができて通らなくなった部分の旧林道から見えます。




オランダ堰堤
明治15年に、写真下のオランダ人技師デ・レーケの指導のもと、築かれた堰堤です。歴史的土木施設として価値があるそうです。(2007.7)



重ね岩
白石峰近くにあります。(2006.5)



天狗岩
北峰縦走路の途中にある大きな岩です。標高は509m。一番高いところまでは登れませんが、
北側の、かなり上の岩のてっぺんまでは登ることができます。岩の上で詩吟をされる方も。

1枚目は北尾根の途中から見上げた様子、2枚目は耳岩あたりから、3枚目は水晶谷線の尾根上から、
4、5枚目は国見岩付近の稜線から。4枚目後方は三上山。(1,3:2007.7、2,4:2006.5、5:2014.4)




国見岩
これまたみごとな露岩です。左後方には湖南アルプス、右の工事は新名神の工事です。現在では車が走っています。(2006.5)


金勝寺はこのリンクから。



金勝アルプスの磨崖仏


逆さ観音
古い磨崖仏が斜面の崩壊でひっくり返ったため、逆さになったそうです。阿弥陀三尊像で、鎌倉時代初期のものといわれています。(2013.12)



狛坂磨崖仏
かつてここに狛坂寺という大きなお寺があったそうです。明治時代に廃寺となったそうです。
狛坂磨崖仏はお寺跡に残る縦6m×横4.5mの花崗岩に掘られた三尊像です。
奈良時代後期から平安時代初期に作られたものと考えられています。(上2006.5、下2014.4)
2枚の写真を見比べると、8年の経過で、岩カビが繁殖して、数も面積も増えています。何とか対策お願いします。



茶沸観音
白石峰から竜王山への縦走路にある小さな仏様です。観音と呼ばれているものの、小さな如来像です。(2006.5)



泣き地蔵
県道12号線(栗東・信楽線)の「道の駅」がある「県民の森」の少し下を通る「一の瀬林道」からすぐ下にあります。2014年5月に「栗東ふぁざーず倶楽部」の皆さんが整備されたそうです。
江戸末期の1865年に刻まれたそうで、三体の仏像からなります。左から阿弥陀如来、釈迦如来、薬師如来で、2,3,4枚目がこの順の画像です。(2014.5)




小屋谷観音
県道12号線(栗東・信楽線)が新名神の近江大鳥橋をくぐる所の少し上にある「無名4号橋」が入口で、林道を少し上がり、堰堤の手前で赤ペンキを
目印に川を渡り、あとは誘導にしたがって小屋谷へ。険しい岩を斜めに上がると、大きな岩の裏側に観音像があります。微笑んでおられる
ような優しいお顔の石仏様です。鎌倉時代に彫られたと推定され、茶沸観音と同様、現在は観音と呼ばれているものの、舟形光背を持つ如来像です。(2014.5)


三上山周辺の磨崖仏はこちらへ



金勝アルプスの花


コバノミツバツツジ
四月下旬から五月上旬にかけて、金勝アルプスの至る所、濃いピンク色に染まります。ミツバツツジの仲間で
雄しべが十本ある「コバノミツバツツジ」です。金勝アルプスの花の代表と言っていいでしょう。2006.5.3




イワカガミ
これも五月上旬頃、花盛りを迎えます。カガミは葉のつやから来ています。花は可憐なピンク色。
もともと少し標高の高いところが好きな花で、竜王山や鶏冠山の山頂近くで咲きます。2006.5.3




ムシカリ
オオカメノキともいいます。春に咲く白い花です。「大」の字のような装飾花がよく目立ちます。(上2006.5.3、下2014.4.19)





スミレ類
春、いろいろな種類のスミレが咲き競います。上はタチツボスミレ、中はニオイタチツボスミレ、下はシハイスミレです。2006.4.16



ショウジョウバカマ
春先に咲くピンク〜赤紫の花です。この山ではピンクが多い気がします。2006.4.16



キンコウカ
夏、鮮やかで形のいい花が咲きます。図鑑では中部地方以北の山地〜高山の湿原が自生地となっていますが、
金勝アルプス周辺は、最南端の自生地として知られています。川沿いなどに群生して咲きます。大切に守りたいものです。2007.7.1&2010.7.4




金勝アルプスからの眺望


笹ヶ岳
竜王山から南を眺めると、信楽高原の山々が一望できます。中央遠方が信楽高原の最高峰・笹ヶ岳739m。左手前は信楽高原の568m峰。



阿星山
竜王山・東の駐車場から阿星山693m。このあたりの山塊の最高峰です。



三上山
竜王山山頂より。右後方に田中山、奥島山。



比良山、琵琶湖、栗東、トレセン
竜王山・東の駐車場からです。手前のグラウンドは栗東のJRAトレーニングセンター。小山の向こうに栗東市街。その向こうには琵琶湖と比良山系です。




分岐点の様子


0-1間の車止め
北谷林道入口にある車止めです。上桐生バス停からすぐ。(2007.7)



分岐点・1
その先2分ほどの分岐です。左は北谷林道・北谷線経由で鶏冠山へ。右は、落ヶ滝線、奥池線方面です。(2007.7)



分岐点・2=奥池線入口
落ヶ滝線から奥池線(右折)が分岐するところです。(2007.7)



分岐点・3
落ヶ滝線から、落ヶ滝そのものに分かれる分岐点です。右の看板の向こうを下って5分ほどで落ヶ滝です。(2007.7)



分岐点・4
北谷線から落ヶ滝線へ向かう分岐です。鶏冠山から下りてきた方向から。直進が北谷線、左折で10分弱で落ヶ滝線へ。(2013.12)



鶏冠山・山頂
中央が三角点の石標です。点名は「荒張」。2005年頃、伐採されて広く感じるようになりました。(2013.12)



分岐点・5
天狗岩側から鶏冠山方向に向いたところです。左折が落ヶ滝線、上桐生バス停方面。直進するときつい登り15分ほどで鶏冠山・山頂です。(2006.4)



分岐点・6
南向きの写真です。右方向へ直進が北峰縦走線・白石峰方面。左へいくと尾根伝いあるいは尾根から右の谷に下って10分弱で走井林道へ。(2006.4)



白石峰・山頂
上の写真は耳岩方面から南向き。ここの山頂は重要なルートの交差点です。左が竜王山へ。右に下るとすぐ先で狛坂線と茶沸観音線の分岐(下の写真)。
ちなみに、この山頂になぜか登山届けのポストがあります。また、上の写真の茶色の看板に書いている所要時間はあまりに長すぎでは?と思ってしまいます。
たとえば、天狗岩まで30分、鶏冠山まで90分、上桐生まで90分など・・・ここから鶏冠山までは50分もあれば十分なのですが。(2006.5)




登山口・7
走井林道の起点近くにある駐車スペースです。(2006.4)



竜王山・山頂
三角点石標のある山頂です。縦走路からほんの少し南にずれています。ボケッと歩いてると入口を見過ごすかも・・・(2006.5)



分岐点・8
走井林道から、北峰縦走線に至る最短ルートの尾根入口です。左の木のすぐ右の岩を越えて尾根にとり付きます。
もう少し先の谷からも入れますが、夏はシダが濃く尾根の方が無難でしょう。(2010.7)




分岐点・9
走井林道から、耳岩方面に入るところです。道の反対側に、十九道ダムへの下降口があります。(2006.5)



金勝寺林道終点、馬頭観音堂駐車場・10
金勝寺林道の終点にある駐車場です。ここからなら竜王山の山頂までわずか10分ほど・・・。(2006.5)



分岐点・11=金勝山山頂入口
金勝寺林道から金勝山の山頂に向かう入口です。ここからは笹を分けて道無き道を行きます。(2007.7)



金勝山・山頂
金勝山の山頂です。上の分岐点・11から高みを目指して5分も歩けば着きます。



分岐点・13
逆さ観音方面から南に向かってきた方向です。林道直進が狛坂線方面。左折で水晶谷線経由耳岩方面。



分岐点・15(出合)
茶仏線から北を向いたところです。左斜め方向が上桐生へ。右折で狛坂線に入り、狛坂磨崖仏、白石峰へ。(2006.5)



分岐点・16
茶沸観音線を下ってきたところです。左折で桐生辻、右折で上桐生方面へ。(2006.5)



桐生辻登山口・17
県道にある桐生辻のバス停です。大戸川ダムにかかわる道路付け替え工事の関係で、ゲートが2つ、見えていますが、そ
の真ん中の小さな縦長の看板のあるところが桐生辻線の入口です。瀬戸滝林道に入る場合は、右のゲートを越えて進まなけれ
ばなりません。たいへん不便な状況です。瀬戸滝林道から下ってきても、このゲートを越えないとバスに乗れません。(2014.4)




分岐点・18=瀬戸滝林道登山口
17のゲートを越えて1分も歩けば、この入口です。工事はすでに終わっていてこの舗装道を登っていけば、やがて瀬戸滝林道となります。
ちなみに、上の道は新名神高速道路ではなく、付け替え中の県道16号線です。この区間はもう完成しているようです。(2014.4)
2016年、17から19の間が通行止めとなりました。「ダム工事のため」とだけ書かれていて、いつ開通するのかもわかりません。(2016.6)



分岐点・19=瀬戸滝-馬頭観音ルート入口
瀬戸滝-馬頭観音ルート」は、1/25000地形図に破線で描かれているルートです。瀬戸滝林道のピストンカーブの東詰から入りますが、
このピストンの上側箇所ががけ崩れで通行不能となっており、新しいルートに付け替えられています。したがって、昔の林道の
ピストン東詰にまず下の林道跡から入ります。この先は、地形図の破線とは違ってしばらくは川沿いに歩きます。
少し先で左の小谷に入り、地形図の破線に一致します。この小谷を詰め終わったら右の尾根に乗りますが、地図読みと尾根の藪漕ぎが
必要なルートです。決して、初心者だけで入らないほうが良いでしょう。登りきると、馬頭観音堂Pのすぐ西で、北峰縦走線と合流です。
このルートに関して、詳しくは、こちらをご覧ください。(2014.4)
17から19の間が不通になっても、20あるいは白石峰から16を経てここに入ることができます。(2016.6)




分岐点・20=桐生辻線入口
分岐点15の1分ほど南にあります。これは北から見た写真で、左手が茶仏線。まっすぐが桐生辻線です。この写真では
見えていませんが、道標の反対側には「桐生辻(上級者向き)」と書かれています。でもけっこういいルートで、決して危険な箇所は
多くなく、しかも瀬戸谷林道が荒れていて、ゲートも越えなければならない今では、桐生辻への良いルートだと思います。(2014.4)


分岐点・21=小屋谷観音入口
大鳥居の交差点から県道を北東に10分ほど登ったところにあります。橋の名前は「無名4号橋」。渡ってすぐ川沿いを左に入ります。(2016.6)



分岐点・22=小屋谷観音分岐
21から7分登ったら、このような大きな岩に赤いペイントが。ここが分岐で、左が小屋谷観音、右が金勝寺です。(2016.6)
このルートに関しては、こちらをご覧ください(YAMAPへジャンプ)。



この地図は国土地理院発行の2万5千分の1地形図(瀬田・三雲)をベースに作成いたしました。