笠ヶ岳   Mt. Kasagatake  2898m

 槍ヶ岳開山で知られる播隆上人が槍ヶ岳に登ることを決意したのは笠ヶ岳の山頂から槍の穂先と、「御来迎」を見たことがきっかけだったという話は新田次郎の「槍ヶ岳開山」にふれられています。御来迎はブロッケン現象だったと考えられています。笠ヶ岳はその頃から既に信仰の山だったようです。北アルプス南部、穂高・槍連峰が中央に、その東西にはそれぞれ常念山脈と錫杖岳〜笠ヶ岳〜抜戸岳〜弓折岳の並びが三列の重厚な山並みを作り上げています。その合間には、それぞれ梓川・上高地と蒲田川・新穂高温泉の谷が入り込んでいます。笠ヶ岳の山容は、山頂部がその名の通りきれいな笠の形をしていることが特徴です。どちらの方向から眺めても、笠の形が目立つので、遠くからでも同定できます。
 今回の山行では、新穂高温泉から標高差1810m(山荘まで)で笠ヶ岳に直登する「笠新道」を登り、笠ヶ岳山荘で一泊、翌朝山頂を踏んで、稜線を北上し、大ノマ乗越、弓折乗越を経て鏡平に下り、新穂高温泉に戻るコースをとりました。途中、お花畑もたくさんあるルートです。お花畑に咲く高山植物は、別ページに分けましたので、こちらをご覧下さい。

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山行写真
撮影日:2004/8/9-10 Photo by Minaphm, All Rights Reserved.
撮影機材:ボディー: Pentax KX、レンズ: Tefnon Zoom 28-105mm F3.5、Pentax Macro100mmF2.8


新穂高温泉より望む朝の錫杖岳 @
2004年8月9日、朝5時に中尾温泉の宿を出て5:15、新穂高温泉登山者用無料駐車場に車をとめようとしたら、なんともう満車でした。
しかたなく温泉街に車を戻し、旅館の広い駐車場(標高は990m)を借りて歩き始めました。バスターミナルまで30分ほどかかりました。
思わぬコース延長でした。それでなくても今日は笠ヶ岳山荘まで8時間コース・・・・先が思いやられます。
でも、おかげさまで、朝日に赤く輝く錫杖岳(左奥)と烏帽子岩をゆっくりと眺めることができました。




バスターミナルから笠を見上げる A
6:10、新穂高温泉のバスターミナルから見上げる笠ヶ岳方面です。左の雲のかかった峰のもう少し奥が山頂でしょうか?



穴毛谷 B
左俣林道を少し登ると、左に巨大な谷が顔を出します。穴毛谷です。岩の崩落が盛んな谷のようで、
重機が数台岩をならしていました。とうぜん一般登山道はありません。右のピークは穴毛谷と笠新道の間にある2248m峰です。




笠新道・登山口 C
いよいよ笠新道の入口です。宿で作ってもらった朝食を頂いて、7:30、ぼちぼちと登りはじめます。
ここはまだ標高1380mです。ここから山荘までの標高差は1420mです。




笠新道を登る C-D間
厳しい笠新道の登りです。やはり傾斜はかなりのものでした。でも、登山道はよく整備されていて
ブナの大木の間を安心して登っていけました。




穂高連峰 C-D間
時折樹林帯から草地に出ます。後ろを振り返れば穂高連峰が仰げました。左から大キレット、北穂高3106m、涸沢岳、奥穂高3190m、西穂高。



槍ヶ岳 C-D間
そしてその左に、槍ヶ岳3180mです。穂先は雲の中。右に大喰岳と中岳。手前は奥丸山2440m。



草付 C-D間
草地の登りです。標高は2000m前後でしょう。暑い!それにまだ高山植物はあまり咲いていません。早く上に、上に、と焦ります。



岩壁とミヤマシシウド C-D間
やがて頭上に小さな岩壁が現れます。道はこれを避けて右へ回り込みます。
このあたりからようやくお花畑に花が増えてきました。白い花はミヤマシシウドです。




お花畑と登山者たち C-D間
標高は2300mを越えました。お花畑が素晴らしくなってきました。
目立つのは鳥兜の花です。たぶんホソバトリカブトでしょう。ミヤマシシウド、ミソガワソウも見えます。高山植物はこちらへ。




杓子平乗越 D
11:40、杓子平への乗越に着きました。標高は2455mといったところです。
もうかなりバテてます。ガスがかかってきました。眺望はもうありません。




杓子平をゆく D-E間
このあたりは傾斜も緩く、快適に進めます。でもこのあと小雨になりました。主稜線までけっこう距離がありました。



もうすぐ主稜線 D-E間
あの上あたりで笠ヶ岳と抜戸岳を結ぶ主稜線に出られそうです。主稜線の乗越から稜線上を少し右に進むと、抜戸岳の山頂でした。



ガスの切れ目から笠ヶ岳 E
13:10、主稜線に乗ると間もなく雨も止み、今日初めて笠ヶ岳の山頂が姿を見せてくれました。でもこれが今日見た最後の姿でもありました。



抜戸岩 E-F間
主稜線を笠ヶ岳に向かうとまもなく抜戸岩が現れます。ルートはまさに間を抜けていきます。



笠ヶ岳山荘 F
14:10、やっと笠ヶ岳山荘に到着。笠新道はやはり厳しい道でした。



朝の槍ヶ岳(1) G
8月10日、日の出前(5:05)に笠ヶ岳の山頂に到着。槍ヶ岳の後が明るくなってきました。



朝の槍ヶ岳(2) G
槍ヶ岳の後から太陽が昇ってきました。



穂高連峰 G
その右手には穂高連峰です。



雲の滝 G
ガスが少しずつ上がってきました。



山頂三角点 G
左が三角点の標石です。ガスが出てきてお日様が丸くなりました。
なぜみんなカメラを構えてるかというと・・・・




浮かぶ槍の穂先 G
ちょうどその光芒の真ん中に槍の穂先が浮き上がっていたからです。
ほんの1分も続きませんでしたが、神秘的な光景でした。ちょうどブロッケン現象とは反対の位置関係です。




雲湧く谷 F
またガスが晴れて槍が姿を見せてくれました。
この写真は縮小版ですが、画像クリックでフルスケール画像が見られます。
ダウンロードすると、壁紙(1920×1280)としてお使いいただけます。




槍・穂高連峰全景 F
一旦山荘に戻って朝食、その後6:10に山荘を出発しました。山荘の前からです。
ガスも切れ、槍・穂高連峰全体が姿を見せてくれました。
左から槍ヶ岳、大喰岳、中岳、南岳。大キレットを隔てて、北穂高岳、涸沢岳、奥穂高岳、西穂高岳。

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振り返る笠ヶ岳 F-E間
山荘下のキャンプ場あたりから笠ヶ岳を振り返ります。昨日ヒィヒィ言いながら登っていたあたり。岩には「ガンバレ、あと一息」のメッセージが。



黒部五郎岳と薬師岳 F-E間
ほぼ真北です。中央が黒部五郎岳2840m、その右奥が薬師岳2926mです。その右に雲ノ平の高原。左端は北ノ俣岳2661m。



水晶岳、三俣蓮華岳、双六岳 F-E間
その右側、北北東方向です。左端が雲ノ平、赤牛岳、盛り上がって頭が
ギザギザの水晶岳、手前に三俣蓮華岳、双六岳、その間に鷲羽岳。




笠ヶ岳と小笠 F-E間
もう少し下ると、笠ヶ岳の山頂、山荘とその右に小笠がかわいらしく見えてきました。
昨日はガスの中まったく見えなかった光景です。




焼岳、乗鞍岳、御嶽山 F-E間
笠ヶ岳の左手(南)に目をやると、左から焼岳、十石山、乗鞍岳、御嶽山が並んでいます。手前は緑ノ笠でしょうか?



抜戸岳と槍ヶ岳 F-E間
進行方向には抜戸岳。そして槍ヶ岳。



少し遠くなった笠ヶ岳 F-E間
笠新道分岐付近より。
この写真は縮小版ですが、画像クリックでフルスケール画像が見られます。
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さらに遠くなった笠ヶ岳 F-E間
7:15、笠新道分岐を経て、抜戸岳の山腹を北に向かいます。そのあたりから
振り返った笠ヶ岳。両側に長い稜線を延ばし、なかなか優雅な姿で、「笠ヶ岳」の名前通りです。
谷は打込谷。ここを流れる水は、このあと高原川、神通川を経て富山湾に注ぐことになります。

この写真は縮小版ですが、画像クリックでフルスケール画像が見られます。
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秩父岩と槍ヶ岳 H
抜戸岳の稜線は北東に向きが変わると急激に高度を下げます。秩父平への下りです。
その秩父平のへりに立つ秩父岩と、蒲田川の谷を隔てて槍ヶ岳です。




秩父岩と穂高 H
秩父岩と穂高連峰です。



秩父平(1) I
秩父平に下って秩父岩といま歩いてきた稜線を見上げます。8:00でした。



秩父平(2) I
反対方向、秩父平の池塘と大ノマ岳2662m。



鷲羽岳 I-J間
9:20、大ノマ乗越を過ぎて、弓折岳の山頂が近づいてきました。左前方に鷲羽岳が姿を見せてくれました。




弓折乗越 J
9:45弓折岳山頂を通過し、10:00にここ弓折乗越。ここで双六小屋に向かう稜線と別れ、
鏡平に向けて下り始めます。まただいぶガスが濃くなってきました。まだ朝の10時なのに・・・・




鏡平俯瞰 K
やがて山腹に鏡池と鏡平山荘が見えてきました。ガスが出ているのが残念です。



鏡平山荘 L
10:30到着。池と池に映る山荘です。ここからは小池新道の下りです。



シシウドヶ原 M
11:00鏡平を出発、やがて大ノマ乗越からの雪渓とシシウドヶ原です。



左俣林道に出る M-N間
12:35、左俣林道に出ました。両側にはきれいなブナの森が続きます。




ワサビ平小屋 N
13:10、ワサビ平に到着。いよいよ今回の山行もゴール近し、です。



新穂高温泉からの焼岳 B-A間
14:05、新穂高温泉のロープウェイ乗り場到着です。近くの橋の上から焼岳が。
朝のうちは見下ろしていたのに、もうあんなに高くなっています。



山行記録:2004/8/9-10

 前日の8月8日は、昼過ぎ、滋賀を出て、名神、東海−北陸、国道を経て夕刻新穂高温泉へ。ほぼ300km。到着後、中尾のペンション泊。露天風呂にいつでも入れる、なかなかのペンションでした。

 8月9日、5:05 ペンション発、5:40 駐車地に手こずり、結局温泉街Pに駐車・出発、6:10 バスターミナルA、6:20 左俣林道入口ゲート、7:10 笠新道入口C着(朝食)、7:30 出発、11:40 杓子平D、12:55 抜戸岳山頂、13:10 主稜線と笠新道合流点、14:10 笠ヶ岳山荘F到着(泊)。この後雨が強くなり、今日中の登頂は断念。山荘はまずますの混雑で、布団4枚に5人の状態。前日は6人寝たそうです。


 8月10日、4:50 山荘を出て、5:05 笠ヶ岳山頂G着、日の出を待つ。5:30 山荘Fに戻り、朝食後、6:10 山荘出発。7:15 主稜線と笠新道分岐点、8:00 秩父平I、8:25 大ノマ岳山頂、9:20 大ノマ乗越、9:45 弓折岳山頂、10:00 弓折乗越J、10:30 鏡平L到着(昼食)、11:00 山荘発、12:35 左俣林道に出る、13:10 ワサビ平N、14:05 新穂高温泉A到着。その後、平湯温泉で露天風呂につかってから、滋賀へ帰る。


ルートマップ




笠ヶ岳周辺の高山植物へGo!

周囲からの笠ヶ岳


新穂高ロープウェイ、西穂高口より、2005.5.17
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奥穂高岳より、2013.8.13
この写真は縮小版ですが、画像クリックでフルスケール画像が見られます。
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立山、一ノ越より、2006.8.19



剱岳・前剱より、2010.8.22
左後方は木曽の御嶽山