鍋尻山   Mt. Nabejiri

鈴鹿山脈最北部、高室山とともに、芹川と犬上川に囲まれた近江(脇ヶ畑)カルストと呼ばれる台地上に位置する代表的な山が鍋尻山(838m)です。この山の北斜面は芹川・権現谷まで鋭い傾斜で標高差約600mで一気に落ち込み、一方南斜面は、保月(ほうづき)集落まで標高差約200mしかなく、台地上の緩傾斜地帯へと続いています。山頂部の形は、まさに土鍋を伏せたような丸さで、どこからでもよく目立ちます。登山道は保月から登るのが一般的ですが、風穴で名高い河内からも古い道があり、今回はそちらから登ってみました。

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山頂からの展望へ


山行写真
撮影日:2002/10/13 Photo by Minaphm, All Rights Reserved.
撮影機材:ボディー: Pentax K10D、レンズ: SMC Pentax DA18-250mm F3.5




河内・妛原の登山口 @
河内の風穴のある宮前から車で1分も芹川をさかのぼると、妛原(あけんばら・標高約250m)の小さな集落があります。ここが、登山口。
写真の鉄の橋を渡り、民家の左手を奥に入ったところが尾根への取り付きです。入口を見つけるのに、20分はかかりました。

なお、写真の川は芹川上流・権現谷入口部で、先方が上流です。つまり、ほぼ東を向いて撮影しています。



登り口 A
先ほどの民家の左側の小さな石垣を登ったところから東向きです。
右手2本目の杉に、赤と黄色のテープが見えます。これが目印。



登山道の様子(1) B
最初はほぼ南向きに派生尾根を登ります。踏み跡はあまりはっきりとは言えませんが、
このあたりは一旦道を見つけさえすれば、大丈夫です。




登山道の様子(2) C
少し登ると、石段のような石灰岩の列がありました。やはり、昔は重要な生活道であったことがわかります。




河内・宮前からの登山道との合流 D
右下から上がってくるルートが、いまの妛原からのルートで、まっすぐが風穴のある河内・宮前へのルートです。
帰りの下りルートとして行ってみましたが、こちらは完全な廃道状態でした。




初めて見えた鍋尻山頂部 E
合流点からは東南東向きの尾根上のルートとなります。



エチガ谷 F
山頂部の下に目をやると、深い深いエチガ谷です。この谷の入口近くに「河内の風穴」があります。



大杉とお地蔵様 G
やがて、大きな二本の杉、そしてその間に小さなお地蔵様が祀られた場所につきます。
周囲はちょっとした広場になっていて、古くから儀式が行われていた場所のようです。




カレンフェルト H
その広場の右手には、石灰岩がまるでたくさんの人が並んでいるかのように、林立していました。
登山道は、杉と岩の間にあります。尾根に出てからここまでの道ははっきりとしていました。



植林帯を抜ける H-I間
広場から先は、踏み跡はほとんど消えてしまいました。しばらくは何かの境界を表す黄色いポールと、時折あるテープに従って登っていきます。
とくに、この先の植林帯の中が迷いやすい道でした。ほぼ斜面にまっすぐに、東南東に登っていきました。すると突然植林帯が終わり、二次林へ。




明るい二次林 I
ここからは、テープを頼りに、斜面をやや右上方向に登っていきます。



岳の峠からの鍋尻山 J
二次林を登りつめるとまた植林がありますが、傾斜がゆるくなると、その先にススキの原っぱが
現れます。岳の峠です。ここから登山道は、旧生活道から離れて、右手に折れます。この写真の
ところまで進むと、行き過ぎです。ススキの前に稜線の少し手前を右折です。そして、
鍋尻山頂からの、写真のやや右手に見える尾根に乗ります。




尾根の様子 K
尾根に乗ってしまえば、あとは踏み跡もあまり気にせずに、ひたすら尾根を登り、山頂を目指します。
これは、振り返って下方向を見た写真。テープは時折ついていました。




鍋尻山頂 L
突然視界が開けると、もう山頂です。南寄りに三角点があります。





山頂からの眺望



ソノドとコザト
三角点あたりから見えるのは北東のみで、霊仙山の尾根上の二峰が見えました。手前がコザト830m、奥がソノド926mです。



霊仙山
岩に登ると、北に霊仙山が大きく見えます。左の近江展望〜南霊岳がよく目立ちます。
その右が山頂、右手に延びる西南稜の先が最高峰1094mです。




東〜南東
山頂から5分ほど保月方面に進むと、カレンフェルトの散在するススキの原に出ます。ここからは、
東〜南がよく見えます。まずは24mm広角による烏帽子岳、三国岳、焼尾山、そして御池岳(遠方左から)です。
御池岳の左肩にはかすかに藤原岳の山頂部が。また、一つ手前には横根山の3峰が確認できます。




南東〜南
その右手を24mm広角で。御池の右には、天狗堂988m、手前にザラノ808m、高室山817m、その手前にこの鍋尻とよく似た地蔵山。



烏帽子岳
今度はそれぞれの峰を望遠で狙います。まずは烏帽子岳865m。尾根の右端は狗留孫山。どこから見ても秀麗な峰です。




三国岳
美濃・伊勢・近江の三国境にある三国岳911mです。手前には東横根(左)と西横根。



焼尾山と横根
その右には922mの焼尾山。手前に西横根と横根最高峰(右)。




御池岳
そして鈴鹿の盟主・御池岳1247m。左に藤原岳の端(冷川谷の頭)が頭を出しています。。




天狗堂とサンヤリ
中央の富士型が天狗堂988m。右がサンヤリ958m。手前には大見晴。



高室山と地蔵山
高室山817m。山頂部の草原が確認できます。手前は地蔵山763m。



山行記録:日時−2002年10月13日、天候−晴れ。10:10 河内・妛原・登山口発、10:30 宮前分岐、11:00 大杉の広場、11:30 岳の峠、12:40 山頂、昼食、13:50 下山開始、14:20 岳の峠、14:50 大杉の広場、15:40 宮前登山口到着。

途中の状況は写真のところに書きましたので、そちらをご参照ください。帰り(下り)に、分岐を宮前方向にとって見ましたが、これが凄まじい?廃道でした。集落が近づくにつれてひどさが増し、とうとう草に道が占領され(下写真)、やがて、笹薮、急な崖、蔓草、とげ草等々でほとんど進めない状況でした。なんとか最後は笹の斜面を滑り落ちるように、民家の庭先に降りて来ました。地元のおばさん方もあきれて笑っておられました。こんな状況なので、夏場はまさしく「廃道」といったほうがいいでしょう。でも、行き(登り)で利用した、妛原からの道は、入口こそ見つかりにくかったものの、そんなに悪い状況ではなく、歴史のある道でもありますので、なんとか廃道にならないでほしいものです。みなさん、どんどんここから鍋尻に登って、道を守っていきましょう!!なお、最後の格闘のおかげで、こんな時期にもかかわらず、山蛭に吸われていました。


河内・宮前への道の状況 M



今回のルートマップ
番号は、上の写真に対応しています。


この地図は国土地理院発行の2万5千分の1地形図(彦根東部、高宮)をベースに作成いたしました。



周囲からの鍋尻山:こちら(滋賀の山・山姿写真集・鍋尻山)をご覧下さい。