桟敷ヶ岳  Mt. Sajikigatakei

 桟敷ヶ岳は、京都・北山のほぼまん中、鴨川の源流部に位置する896mの峰です。桟敷ヶ岳といってまず思い出すのは、近江にもゆかりの深い惟喬親王の伝説です。親王は文徳天皇の第一皇子で、時代は平安時代前期です。皇位継承の諍いに敗れ、都を追われます。桟敷とは、親王が都を懐かしみ、眺めるために山頂部に作らせた高楼のことで、このほかにもこの山の上で相撲をとったなどの伝説があるそうです。近江にも親王の伝説は数多く、日本コバの北麓には惟喬親王御陵もあります。桟敷ヶ岳は今回が初めてなので、最もオーソドックスなルートを歩きました。まず地下鉄北大路からもくもく号に乗って終点の雲ヶ畑・岩屋橋で降り、志明院の脇から登って薬師峠へ。ここから尾根筋を通って桟敷ヶ岳の山頂、その後山頂少し南の鉄塔から、祖父谷林道に下り、岩屋橋に戻るルートです。日ごろほとんど車で行動するので、地下鉄やバスを使っての山歩きはめったにしたことがなく、もくもく号の時間を気にしすぎて、少し落ち着きませんでした。焦った割には最後時間つぶしまでして、結局40分ほど早く着きました。京都北山を歩くには、これにももう少し慣れないといけませんね。写真タイトル横の番号は、最後のルートマップに対応しています。

山頂部からの眺望へ
ルートマップへ

山行写真
撮影日:2014/10/11 Photo by Minaphm, All Rights Reserved.
撮影機材:ボディー: Pentax K-7、レンズ: SMC Pentax DA18-250mm F3.5



もくもく号で岩屋橋 @
もくもく号は、北区雲ケ畑自治振興会が運営主体となった乗り合いバスで、実際にはこのようなワゴン車で運用しています。朝と夕方の二便、運賃は片道
500円です。もし満員で乗り損ねても、同じ料金で代替のタクシーを出していただけます。朝は北大路駅前8:40発、岩屋橋9:10着。ダイヤではちょうど半時間です。




岩屋橋 @
まず岩屋橋を渡って志明院方向へ。



惟喬神社 A
登り始めるとすぐ右手に鳥居が見えてきます。惟喬神社です。まずはお参りしてから。



雌宮 A
階段を上っていくと神殿が。看板によると、親王が寵愛していた雌鳥がこの地で病死したためこれを祀り、雌宮と呼ばれているようです。



登山道入口 B
舗装された道を25分ほど登ると、志明院の入口が見えてきます。右手の細い道が薬師峠への登山道です。



薬師峠への登り(1) B-C間
最初は植林帯を登りますが、すぐに左下から流れが近づき、やがて河床を歩きます。



薬師峠への登り(2) C
この標識で右折します。まっすぐにも踏みあとがあるので、ちょっと要注意です。



薬師峠への登り(3) C-D間
流れが無くなってからも谷底を進み、やがて前方に薬師峠が見えてきます。



薬師峠の六体地蔵 D
薬師峠には六体のお地蔵様が祀られています。



北東に向かう E
峠で右に曲がり、しばらくは尾根上を北東に向かいますが、やがて尾根芯を左に外れます。



右山腹の道 F
また尾根芯に戻り、しばらく進むと、岩茸山との鞍部に出ます。ここから尾根上を進む道もありますが、右山腹の古い道に入りました。この道は、
かつて祖父谷に道ができるまで、都と山国の井戸や常照皇寺を結ぶ重要なルートだったそうです。この古道は岩茸山を通らずに右山腹を進みます。




稜線上の道(1) G
その後古道は、稜線の右側に続きますが、だんだんと怪しくなってきます。そうなったら左上の稜線に出たほうがよさそうです。稜線にはこのような広い山道があります。



比叡山、貴船山 G-H間
突然右手(南西方向)の眺望が開けました。遠方が比叡山848mです。その手前は貴船山722m(最高点)。一番手前は魚谷山から南西に延びる尾根です。



水井山、横高山 G-H間
その左の眺望です。ドーム状の山は水井山794m。その右には横高山767mです。



魚谷山 G-H間
さらにその左、標高816mの魚谷(いおだに)山です。深い森に覆われた目立たない峰です。



鉄塔下に出る H
快適な尾根道を進むと、間もなく鉄塔の下に出ます。ここも眺望がなかなかです。でも、上の比叡山〜魚谷山は
木の梢が茂っていて、ここからは見えません。なお、正面のこんもりとした丘が、桟敷ヶ岳の山頂部です。




飯森山 H
まずは西方向を眺めます。目に付くのは電波反射板を2枚乗せた峰と、その右の尖がり頭です。ともに城丹国境の峰で、
右の尖がり頭が飯森山791m。反射板の峰は無名峰ですが、標高は802mあります。天童山はちょうどその裏手で見えません。城丹国境は、
長く京都市と京北町の境界でしたが、合併が進んだ今では、北区と右京区の境界になってしまいました。なんだかピンと来ません。




竜ヶ岳と地蔵山 H
南西に目をやると、立派な2つの峰が高さを競っています。左寄りの手前が竜ヶ岳921m、中央後方が地蔵山947mです。ともに愛宕山の北にある峰です。



焼杉山 J
さて、再び東方向に戻ってきました。東南東といった方角です。この小さく見える峰は焼杉山717m。大原にある峰です。ここからカメラを左に振っていきます。



天ヶ岳 H
その少し左です。右寄り遠方が天ヶ岳788m。南から見上げると立派な天ヶ岳の姿も、東西から見るとあまり特徴の無い峰です。



花脊の大鉄塔と天狗杉 H
次に左に見えてくるのは花脊の大鉄塔です。ほぼ真東です。この塔はどこからでもよく目立ちます。その右手前の丸い峰は、天狗杉837mです。



滝谷山 H
その左手は中央奥に滝谷山876mです。山頂部だけしか見えていません。さらに左手奥は、比良山系となり、権現山996mとホッケ山です。



蓬莱山 H
その左に、蓬莱山1174mが大きく見えます。



皆子山 H
その左、奥から二番目が京都府最高峰の皆子山971m。後方の比良山系と手前の雲取山からの尾根の間に山頂部が見えるのみです。ある登山ガイド本に
ここからは「皆子山がよく見える」みたいなことを書いてましたが、実はこのように厳しいです。後方は比良山系で左端が烏谷山1077m、次が比良岳です。




雲取山 H
そしてその左に雲取山911mです。どこが山頂なのかよくわからない山です。実際、911mより
高いピークもあるようです。三角点は烏谷山の少し左のはずですから、尖ったところでしょう。




武奈ヶ岳 H
次に左に見えてくるのは比良の盟主・武奈ヶ岳1241mです。右にコヤマノ岳、左に釣瓶岳を従えています。手前は茫洋とした雲取山の山頂部です。



峰床山 H
その左に峰床山970mが見えました。ほぼ北東です。皆子山に続く京都府第二の高峰です。小さな鉄塔が目印。一つ手前の凸峰は城丹国境の852m峰。



白倉岳 H
その左手には白倉岳の連峰です。ほぼ中央が950m三角点のある山頂。右に中岳と南岳。左には烏帽子岳。一番手前は石仏峠近くの830m峰。



桑谷山 H
さらにその左には双耳峰の桑谷山931m。左は三角点925mのある西峰です。かなり間延びした双耳峰となってしまいます。



桟敷ヶ岳・山頂 I
鉄塔下からの眺望を楽しんだ後、少し北上すると三角点のある山頂に着きます。
二等三角点「桟敷岳」。標高は895.7mです。割れて交換された標石が置いてあります。



山頂の紅葉 I
この山頂は紅葉がなかなかすごいです。今日は10/11ですが、もう少しで最盛期でしょう。



片波山 I
山頂からもわずかですが、さっきより北寄りの眺望があります。中央後方の桑谷山・西峰の左下に台形の
片波山(左)763mが見えてきました。なお、その左後方、ちょっとだけ頭を出しているのは、県境の経ヶ岳889mです。




小野村割岳、鍋谷山、井ノ口山 I
その左、後方に屏風のように連なるのは小野村割岳951m。左後方には傘峠935mの姿。一つ手前の連なりは
尖っているのが鍋谷山・最高点で、861mあります。通常の山頂はその右で859m。さらにその右は井ノ口山849m。


ブナノキ峠、892m峰 I
ほぼ北を向きました。後方、右端が傘峠、左がブナノキ峠939mです。ともに芦生演習林内の峰。
ブナノキ峠手前の高峰はダンノ峠南の無名峰P892(35.2555,135.7335)です。立派な山なのに・・・



鉄塔下からの下り H
鉄塔下まで戻り、祖父谷林道に下るルートを探します。鉄塔の少し南にありました。鉄塔巡視路です。ここから桟敷ヶ岳の山頂を眺めます。



巡視路を下る(1) J
最初は階段のある急降下。巡視路の割には荒れた道です。やがて植林帯に入ってきました。



巡視路を下る(2) K
谷筋を下ります。なかなか急で荒れたルートです。滝状のところで振り返ったところ。



巡視路を下る(3) L
ルートはだいぶ落ち着いてきました。この先で再び植林帯となったら林道は間近。



林道に出た M
祖父谷川の林道に出ました。下り始めてから40分ほどかかっています。



林道を下る N
あとはのんびりと林道を下ります。



岩屋橋から北方向を見る @
岩屋橋のバス停に着きました。いま歩いてきた方向です。ただいま14:30です。土日のもくもく号は15:10発。40分ほど余裕でした。


山行記録:日時−2014年10月11日、天候−晴れ。北大路駅前8:40発のもくもく号。発車時に数名定員オーバーのため、連絡等で5分あまり遅れて発車。9:13 雲ヶ畑岩屋橋@到着。準備して9:17 歩き始めるが、すぐにAで惟喬神社にお参り、9:22 Aを出発、9:46 登山道入口B、10:02 分岐C、10:15 薬師峠D、11:38 鉄塔下H着。休憩・写真撮影後、11:45 同所発、11:50 桟敷ヶ岳・山頂I着。昼食後、12:05 山頂発、12:15 鉄塔下より下降開始、12:55 Mで林道合流、14:30 バス停@着。


ルートマップ


この地図は国土地理院発行の2万5千分の1地形図(周山、上弓削)をベースに作成いたしました。

図中の番号は上の写真と対応しています。