奥穂高岳、前穂高岳の高山植物   [上高地→徳沢(泊)→横尾→涸沢→穂高岳山荘(泊)→奥穂高岳→前穂高岳→(重太郎新道)→岳沢→上高地]


上高地から横尾、涸沢経由で奥穂高岳、前穂高岳へ登り、重太郎新道、岳沢経由で上高地へ下山の山行(2013.8.11-13)で出会った高山植物の花です。そのときの山行写真はこちらへ。写真後ろの番号は、最後のルートマップの番号と対応しています。

ルートマップ


第一日目の花(上高地→徳沢)
第二日目の花(徳沢→横尾→涸沢→穂高岳山荘)へ
第三日目の花(穂高岳山荘(泊)→奥穂高岳→前穂高岳→(重太郎新道)→岳沢→上高地)へ


撮影日:2013.8.11〜13 Photo by Minaphm, All Rights Reserved., *:Photo by S. H.
撮影機材:ボディー: Pentax K-7、レンズ: SMC Pentax DA18-250mm F3.5



第一日目の花 (上高地@→徳沢C)

ソバナ @-A間
(キキョウ科ツリガネニンジン属)
河童橋から明神への道脇で。ツリガネニンジンに似ていますが、花は輪生せず、花のふくらみが小さく、雌しべが花の外に突出しないことで見分けられます。



カニコウモリ @-A間
(キク科コウモリソウ属)
カニコウモリは、葉の形がカニに似ている、コウモリソウの一種、という意味のようです。ちょうどこのころが満開でした。



サカハチチョウ A
(タテハチョウ科)
明神にて。まだ高山蝶の世界ではなく、下界にも居る蝶です。「八」の字をひっくり返した形なので、サカハチです。夏型です。



イワアカバナ B
(アカバナ科アカバナ属)
明神池のほとりに咲いていました。ミヤマアカバナほど花が小さくはなく、花弁の凹みも目立ちません。



ジャコウソウ A-C間
(シソ科ジャコウソウ属)
明神-徳沢間で。麝香の香りがするからジャコウソウだそうです。




第二日目 (徳沢→横尾→涸沢→穂高岳山荘)

徳沢C→横尾D


メタカラコウ C
(キク科メタカラコウ属)
河童橋あたりから横尾まで、ところどころで群生を作りながら、たくさん咲いていました。この区間で
一番多く見た花です。舌状花が2〜3枚なので、オタカラコウではなくメタカラコウのほうでしょう。




ウド C-D間
(ウコギ科タラノキ属)
シシウドはセリ科ですが、こちらはウコギ科。ミドリカミキリがお食事中です。

横尾D→本沢橋E


センジュガンピ D-E間
(ナデシコ科センノウ属)
自然界のナデシコの一つ、センジュガンピです。日光の千手ヶ浜で発見されたのでセンジュだそうです。



ノリウツギ D-E間
(ユキノシタ科アジサイ属)
低山にも多く見られるノリウツギ。アルプスにもけっこう咲いていたので、驚きです。



シモツケソウ D-E間
(バラ科シモツケソウ属)
ピンクの細かい花が、鮮やかに咲いていました。伊吹山にも咲く、シモツケソウです。


本沢橋E→涸沢F


トリアシショウマ E-F間
(ユキノシタ科チダケサシ属)
白くて細かい花が円錐状に咲いています。ユキノシタ科のトリアシショウマです。




ヤマブキショウマ E-F間
(バラ科ヤマブキショウマ属)
すぐ近くで咲いていた花、一つ前のトリアシショウマかとそっくりですが、よく見ると葉や花房の形が
少し違います。葉脈が平行に近い、ヤマブキショウマでしょう。この二種、科も違います。




サンカヨウ(実) E-F間
(メギ科サンカヨウ属)
大きな葉と緑色のきれいな実。6月ごろに花が咲くサンカヨウの実です。花も見てみたいです。



ウラジロナナカマド E-F間
(バラ科ナナカマド属)
涸沢の秋を彩るウラジロナナカマド。夏は、花の季節です。このあと、赤い実がなり、その後、紅葉します。



ベニバナイチゴ E-F間
(バラ科キイチゴ属)
高山のキイチゴです。はなかなかおいしいです。



キバナノコマノツメ E-F間
(スミレ科スミレ属)
キバナノコマノツメは丸い葉っぱの黄色いスミレ。本来、葉には光沢はありませんが、この写真では少し光っています。


オオヒョウタンボク E-F間
(スイカズラ科スイカズラ属)
2個で一組の花&実です。実の形からヒョウタンとなったようです。実は赤くなるのですが、これはまだ緑です。


涸沢F→穂高岳山荘I


ニッコウキスゲ G
(ユリ科ワスレグサ属)
ニッコウキスゲが涸沢小屋の近くで咲いていました。



アオノツガザクラ G-H間
(ツツジ科ツガザクラ属)
ツツジ科らしくない針状の葉と、壷型の花が特徴のアオノツガザクラです。



チングルマ G-H間
(バラ科ダイコンソウ属)
いうまでもなく、北アルプスの夏を代表するチングルマです。この年は雪が多く、まだ穂(実)になっているものはありませんでした。涸沢から少し登った雪渓沿いに。



ハクサンイチゲ G-H間
(キンポウゲ科イチリンソウ属)
これもアルプスの名花・ハクサンイチゲイチリンソウの仲間だったんですね。



シナノキンバイ G-H間
(キンポウゲ科キンバイソウ属)
シナノキンバイはよく目立つ、大きな黄色い花です。雪渓の上端あたりで。



ミヤマキンポウゲ G-H間
シナノキンバイと同じところに咲いていました。ちょっと小さいので気づいた人も居るかもしれませんが、たいてい同じと思われがちです。
花がよりカップ状になっているところも、ミヤマキンポウゲの見分けるポイントです。里に咲くキンポウゲウマノアシガタ)の高山種です。




コバイケイソウ G-H間
(ユリ科シュロソウ属)
雪渓の上端部、シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲとともに群生していたのが、このコバイケイソウです。



イワヒバリ G-H間
(イワヒバリ科イワヒバリ属)
このお花畑で、花とともによく目立っていたのがイワヒバリです。けっこう近づいてくれました。



クモマグサ H
(ユキノシタ科ユキノシタ属)
いよいよザイテングラートの基部に到着。その岩場に、クモマグサが咲いていました。北アルプスと御嶽山でしか見られない、ちょっとレアな花です。



ツガザクラ H
(ツツジ科ツガザクラ属)
少し前に出てきたアオノツガザクラと同じ属のツガザクラ。こちらは淡いピンクです。




イワギキョウ H
(キキョウ科ホタルブクロ属)
おなじみ、イワギキョウです。花に毛がなく、後で出てくるチシマギキョウと区別できます。なんとなくやわらかい印象です。



ミヤマタンポポ H-I間
(キク科タンポポ属)
高山のタンポポ。下界のものと、見かけはあまり変わりません。




第三日目

穂高岳山荘I→奥穂高岳J


クモマグサ H
(ユキノシタ科ユキノシタ属)
ザイテングラートの基部でも見かけたクモマグサが、穂高岳山荘から奥穂高への急登の岩場にも咲いていました。バランスを
崩さないように注意しながら撮りました。でも、この岩だらけの世界はさすがに花は少なく、山頂までで撮った花はこれだけでした。



奥穂高岳J→紀美子平K


トウヤクリンドウ J-K間
(リンドウ科リンドウ属)
山頂のすぐ近くで咲いていました。こんな厳しい環境で、よく・・・。トウヤクリンドウのヤクは薬。漢方薬として用いられていたようです。


ミヤマアキノキリンソウ J-K間
(キク科アキノキリンソウ属)
吊尾根にて。ほんの少しの土壌に、しっかりと根を伸ばして咲いていました。ミヤマアキノキリンソウとはいえ、夏から咲いています。



ミヤマダイコンソウ J-K間
(バラ科ダイコンソウ属)
同じく吊尾根にて。この花は、名前で損をしてる気がします。ミヤマダイコンソウはもっとメジャーになってもいい高山植物なのに・・・



ハクサンボウフウ J-K間
(セリ科カワラボウフウ属)
セリ科の白い細かい花の一つです。ハクサンボウフウは花弁の端が凹むのが特徴です。葉は、三つ葉状。



オンタデ J-K間
(タデ科オンタデ属)
ウラジロタデと見分けが難しいのですが、この個体は葉の裏があまり白くないのでオンタデ



紀美子平K→岳沢ヒュッテM


ミヤマダイモンジソウ K-M間
(ナデシコ科ナデシコ属)
花を前から見ると「大」の文字に似たミヤマダイモンジソウです。



チシマギキョウ K-M間
(キキョウ科ホタルブクロ属)
上ででてきたイワギキョウと違って、チシマギキョウには花に長い毛があります。




タテヤマアザミ K-M間
(キク科アザミ属)
タテヤマアザミは北アルプスのアザミで、総苞片が比較的短く、葉が独特の形状であまり深くえぐられない、などの特徴で他種と見分けられます。




ハクサンオミナエシ K-M間
(オミナエシ科オミナエシ属)
長いはしごを下りきると、見慣れない黄色い花が咲いていました。ハクサンオミナエシです。



ミヤマシャジン K-M間
(キキョウ科ツリガネニンジン属)
重太郎新道下部のお花畑に入ってきました。紫系釣鐘型の花が咲いています。ずいぶん色や花の形は違うのですが、
図鑑で調べるとどちらも萼片に鋸歯がなく、ミヤマシャジンということに。ほんとうに、同じ種類でいいのでしょうか?




クルマユリ K-M間*
(ユリ科ユリ属)
お花畑に時折オレンジが揺れています。おなじみ、クルマユリです。



ミヤマシシウド K-M間
(セリ科シシウド属)
岳沢が近づいてきました。お花畑には大きなミヤマシシウドが咲き誇っていました。(下:*



オオハナウド K-M間
(セリ科ハナウド属)
遠くから見るとミヤマシシウドによく似ていますが、花が違います。この花は端に行くほど花弁が大きく、オオハナウドのようです。北海道などでは平地でも見られます。



シロバナタカネグンナイフウロ K-M間
(フウロソウ科フウロソウ属)
タカネグンナイフウロは濃い色が特徴ですが、この花は色が白く、シロバナタカネグンナイフウロのようです。



ハクサンフウロ K-M間
(フウロソウ科フウロソウ属)
フウロの仲間といえば、やはりハクサンフウロ。アルプスではこの花を見ないと落ち着きません。今回のルートでは、このお花畑が最初で最後でした。




クガイソウ K-M間
(ゴマノハグサ科クガイソウ属)
伊吹山の山頂部でも咲いているクガイソウです。輪生する葉が特徴です。



コメススキ K-M間
(イネ科コメススキ属)
あまりにも大きな群生で育っていたコメススキ。寂しく生えていることが多いのですが。



シロバナクモマニガナ K-M間
(キク科ニガナ属)
クモマニガナの白色品種で、舌状花が8〜11枚です。



岳沢ヒュッテM→上高地・河童橋@


ハクサンシャクナゲ M-N間
(ツツジ科シャクナゲ属)
岳沢ヒュッテを過ぎ、上高地への下りです。道沿いにハクサンシャクナゲが咲き残っていました。花の内側に薄い緑色の斑点があります。



カメバヒキオコシ M-N間
(シソ科ヤマハッカ属)
葉の先が、亀の尻尾のように突出しているので、亀葉。ヤマハッカの仲間です。



ヤナギラン M-N間
(アカバナ科ヤナギラン属)
花がラン、葉がヤナギに似ているのでヤナギランだそうです。


トモエソウ N-@間
(オトギリソウ科オトギリソウ属)
上高地の遊歩道沿い。山地の日当たりの良い草地に生える多年草で、花弁がねじれて巴形になった黄色い花が咲きます。






MAP


この地図は国土地理院発行の2万5千分の1地形図(穂高岳)をベースに作成いたしました。

図中の番号は上の写真と対応しています。

このときの山行写真はこちら